【東御市】 「千曲川護岸」災害復旧工事の不具合 ① 千曲川河川事務所と大林組が地元で説明会 大型ブロック背面に空洞や法留基礎未施工

信州民報

東御市本海野の「千曲川護岸」災害復旧工事の不具合事象について、国土交通省千曲川河川事務所(長野市)と受注者の大手ゼネコン大林組(東京)は24、25、26の3日間、地元・本海野区で住民説明会を開催。不具合の発生原因と改善措置方針を説明し、住民から質問や意見を求めた。

同工事は令和元年10月の台風19号で被災した護岸の復旧工事で、権限代行制度に基づいて国が県に代わって行い、大林組が受注。大型ブロックの段差など不具合は千曲川河川事務所が確認し、昨年12月に本海野区民には不具合事象の発生を文書で知らせている。

護岸工事は区間484㍍で、不具合事象は4348カ所で大型ブロック背面に空洞があり、9123カ所で大型ブロック間に段差や目開きなどができた。また2カ所(112㍍)に法留基礎未施工などが生じている。今年に入り、大林組は千曲川河川事務所へ不具合箇所の改善措置方針を提出。護岸工事の全面的な再施工をするとした。

住民説明会には3日間で延べ64人が参加した。最終日には20人が出席して冒頭、千曲川河川事務所と大林組が陳謝。大林組北陸支店の対馬祥一・土木工事部長は「重く受け止めている。全社を挙げて取り組みたい」と述べた。

千曲川護岸は大型ブロック(コンクリート製品)で築造され、設置する際には大型ブロック裏側の隙間にコンクリートを流し込む(胴込めコンクリート)。大林組は不具合の発生原因として、本来は大型ブロックを1段設置した後に胴込めコンクリートを流し込むが、工程を急いだため2段設置した後に流し込み、充填不足が生じて空洞が発生したと説明。

今後の対策は「1段設置ごとに胴込めコンクリートを流し込み、その確認方法としてチェックシートとウェアラブルカメラを使用し、作業状況を記録する」と話す。また大型ブロックの段差・目開きについても、「施工手順通りに確実に行う」とし、今後の対策は「床束(ゆかづか)との支え棒を使用し、胴込めコンクリート流し込み中の大型ブロックの傾きを防止する」とした。

また法留(のりどめ)基礎(大型ブロックの足元へ設置するコンクリート)未施工と護岸端部の処理不備については、設計図が確定しないまま作業したことから、求められる構造と異なる法留基礎未施工の護岸になり、護岸端部に段差が生じたと説明。今後の対策は「河川工事経験あるものを筆頭に、改めて災害復旧工事の『護岸を新しく作り変える部分』『そのまま残す部分』『双方のつなぎ目部分』について発注者と入念に協議し、設計が整った上で作業を開始する」とした。

さらに施工体制についても触れ、河川工事経験あるブロック工を配置できなかったことなどを挙げ、今後の対策は「河川工事経験ある現場担当技術者中心の体制に刷新し、全国から技術者を選ぶ。またブロック工も配置する」と話し、「目途が立っている」と伝えた。

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