酒造り、それは「想い」をつなぐ伝言ゲーム―。信州上田の酒蔵が醸す日本酒と、そこに関わる人々の〝情熱〟をとらえた、ドキュメンタリー映画『一献の彼方に ~酒造好適人々~』(62分)が、海外の7つの映画祭で賞を受賞。このほど、櫻井洋倫監督(36)らが市庁舎に土屋陽一市長を表敬訪問し、報告した。
映画は〝メイドin上田〟の酒造りを進める、市内柳町の岡崎酒造(岡崎謙一社長)と酒米を栽培する市内殿城の「稲倉の棚田」を軸に、市内の酒造りの仲間たちや販売者など、日本酒に関わる人々や地域の魅力を映し出したもの。
撮影は平成28年冬から始まり、30年夏までの1年半。昨年5月の「柳町発酵祭り」に合わせて上田映劇で上映され、好評を博した。
櫻井監督は、作品を海外のドキュメンタリー長編部門のある約20の映画祭に出品。これまでにアメリカ、イタリア、ロシアの7映画祭から受賞の報せが届いた。この3月には、米カリフォルニア州・サンルイスオビスポ国際映画祭で受賞上映されることから、この日の訪問となったもの。
この日は、櫻井監督と日本酒造組合中央会海外事業部勤務で同映画翻訳版プロデューサー・江岡美香さんが来庁。櫻井監督は「作品でなく、上田地域の情熱が海外に認められた。上田が日本酒を通して知ってもらえ、嬉しい。上田をもっとアピールしていきたい」と。江岡さんは「思いを紡ぐ個々の魅力を発信した映画。これだけ地域と密着している酒造りはない」と、伝える。
土屋市長は受賞を称え、「厚みがあり、幅広い映画。地域の酒造りの文化にしっかり光を当ててもらった。上田を世界に発信してもらえれば嬉しい」などとあいさつ。翻訳版予告編を鑑賞した。同作品は、本年5月の「柳町発酵祭り」に合わせて再上映される。
櫻井監督は佐久市出身(本籍は上田市真田町)、都内の映像制作会社で働きながら、自主制作で〝地域〟をテーマにドキュメンタリー映画を撮り続けている。次回作として、6年前から上田市豊殿地域の「認知症と地域の取り組み」をテーマに撮影を進めているという。
[信州民報:2020年3月7日(土)]
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