長年にわたり案山子を作り続け、秋の稲田を飾っている上田市笹井の飯田きみ子さん(71)はこのほど、「小河滋次郎」「山極勝三郎」両博士をテーマに、案山子約30体を制作。博士らの偉業を知ってもらうために、どこかで展示してくれるところはないかと探している。
リンゴ農家の飯田さんは平成8年、人間そっくりな案山子を作って鳥を脅かそうと作り始めたのをきっかけに、作った案山子はこれまでに延べ400体になるという。飯田さんの案山子はリアルで質も高く、まさに立体アート。NHKBSでも紹介され、平成16年からは毎年、秋になると稲倉の棚田などに飾っている。
好きなテーマは「農業を守って一生懸命働いてきたお年寄りと、未来を担う小さな子どもたち」だが、平成30年に初めて農業とは別のテーマで「赤松小三郎」を制作。小河滋次郎顕彰会・横沢瑛会長、赤松小三郎顕彰会・故伊東邦夫会長らとの出会いから、「上田にはもっと知ってほしい偉人がたくさんいる」と、本年2月から小河博士と博士の竹馬の友・山極博士をテーマに案山子制作を進めてきた。
作るのは〝本人〟だけではない。子ども時代の姿や夫人、恩師、研究者や支援者ら、歴史にかかわった人物の計30体。それぞれ特徴ある案山子と共に細かく経歴も紹介しているため、各人がどんな人物だったのか、どんなふうに博士らと関わったか分かりやすい。案山子らは現在、自宅の居間から廊下、玄関までを占領しているが、小河博士の感化教育を批判した山形有朋総理大臣の案山子だけは倉庫の中だ。
3月28日の別所線全線開通の日、飯田さんは別所線寺下駅付近に小河・山極両博士の案山子を並べて応援=本紙既報=。「別所線と塩田平は上田の財産。この田んぼの中に案山子の姿があったらいい。上田の風物詩になって、案山子を見ようと乗客も増えるのではないか」と話す。そして「次は、日本の開国を牽引した上田六代藩主・松平忠固と赤松小三郎をもう一度作りたい」と話した。

