上田市の上田小県近現代史研究会(小平千文会長、約40人)はこのほど、冊子『上田小県における感染症の歴史』を刊行。16日、上田市立図書館で報道関係に発表した。
同会は「上田小県の近現代の歩みを明らかにしていきたい。そのために資料を掘り起こし、地域のために活用しよう」と、平成4年に発足。同7年から地域に特化した様々な研究冊子を発刊し、これで28冊目となった。同会が、冊子の発行に際して記者発表するのは初めてだ。
昨年から続くコロナウイルスはパンデミックとして世界中で大流行し、この地域でも猛威を振るってきたが、こうした感染症による惨禍は歴史上何度も繰り返されてきた。同冊子は先人たちの歩みに学ぼうと考え、足掛け2年にわたる調査研究を経て発刊したもの。
内容は4章からなり、第1章で上田藩内でも蔓延したコレラ・天然痘などの開港と感染症の関係、産業革命と結核など。第2章「感染症と人権」では遊郭の存在と人権侵害など、第3章でスペイン風邪、第4章では地域の医療や上下水道などについて触れている。
執筆者の一人・上田歴史研究会会長の阿部勇さんは「コロナが流行っているが、古くから様々な感染症が流行ってきた。それでも先人たちは医師会をはじめとし、先進的な努力を重ね、克服してきた。だから先人に倣って、みんなで力を合わせて乗り越えましょうということ」と話す。
冊子はA5判、145㌻。表紙は上田市医師会夜間無料診療所診察風景(「上田市医師会史」より)、定価660円(税込み)。市内各書店で販売中。問い合わせは℡0268―75―3435(桂木さん)。メールurataro@pol4.ueda.ne.jp


