上田市は市議会全員協議会で、市有地「中央三丁目(真田十勇士ガーデンプレイス跡地)」の民間売却について説明した。
売却対象地(約2000平方㍍)は、市にゆかりある写真家ハリー・K・シゲタらの写真などを展示する「写真美術館建設のための用地」として、市から事業委託を受けた土地開発公社が平成10~15年ごろにかけ、用地取得したもの。その後、サントミューゼに併設する市立美術館建設が計画されたことから、写真美術館建設は中止となった。
同土地にはNHK大河ドラマ『真田丸』放送に合わせ、平成27年に観光振興を目的とした真田十勇士ガーデンプレイスを整備(平成28年4月開場)。イベント会場としても活用し、平成28年度~令和2年度までに観光客や市民ら計10万9241人が来訪。昨年度に閉鎖し、現在は解体工事(工期=令和3年10月~令和4年1月末)を行っている。
同土地は進入路が一カ所で間口が狭く、東側には蛭沢川が流れ不整形な土地であることから、「公共施設の一定規模の駐車場確保の必要性も考慮すると、公共施設用地としての利活用は難しいが商業的利用が期待できる土地」とし、維持管理経費をかけて市が持ち続けるより、消費経済効果や税収面のプラスなど「民間への売却で相乗効果が期待できる」とした。
また市は、売却に関して複数の民間事業者から取得希望があることから価格競争ではなく、各事業者が中心市街地活性化をテーマに地元商店街や自治会への地域貢献などの企画提案を行い、それらを評価の上に売却先を決定する「公募型プロポーザル方式」による売却を検討。審査は上田商工会議所、地元商店会、自治会などで構成する土地利用事業者選定審査委員会(7人)を設置し、事業者からの提案を公平かつ適正に審査し、売却先を決定する予定だとする。
さらに市は、同土地の用地取得に要した経費や維持管理の経費が昨年度末までで約6・2億円と報告。地価が年々下落していることから、売却によって生じる簿価額(当時の取得原価)との差額について、売却損が生じた場合は「市が土地開発公社に一定の補填をする必要がある」として、「市の財政状況をみながら補填については検討していきたい」と説明した。