「上田の繭文化」継承・発展へ強い思い繭クラブ「繭友」が2年ぶりの養蚕活動上田市 

信州民報

 
蚕都・上田の「繭文化」継承を目的に活動する、信州上田繭クラブ「繭友」(堀美砂子代表、12人)は、新型コロナの影響で昨年は中止とした養蚕活動に、2年ぶりに取り組んだ。


養蚕は、上田市の紬業者と有志でつくる「蚕飼姫プロジェクト」が、信州大学繊維学部附属農場で同大農場職員らの指導を受けて取り組むもの。繭友はその主体となり、普通蚕品種「春嶺鐘月」の飼育に励む。


「ふ化」「掃立て」「給桑・除沙」「上蔟」「収繭」と春から作業が続くが、今年はコロナ対策をとり「4齢・蚕の給桑・除沙」(桑を与え、食べ残しやフンなどを取り除く)から活動を開始したという。また、これまでは一般市民に参加を呼びかけて体験の場を提供してきたが、今年はコロナ禍であることから会員のみが大学農場職員とともに活動する。


堀代表は「会員は昨年会えなかった『お蚕さん』に会えた嬉しさを感じながら、作業に励んでいる」とし、「一昨年は6万頭を飼育したが、今年は4万頭。活動に参加できなかった昨年は、大学が2万頭育ててくださった」と話す。17日は、食桑を止め吐糸する状態になった蚕を「蔟(まぶし)」(蚕が繭を作る時の足場にするもの)に移す、「上蔟」を実施。会員は大きくなった蚕を愛おしむように、作業に取り組んだ。


24日は、蚕が1週間で作った繭を集める「収繭」を実施。良い繭にならなかったもの(屑繭)を枠から外す選別作業では、枠ごと繭を光に当てて薄い繭を省く。そして枠から良い繭を取り出して周りの毛羽を取り、汚れや大きさなどを検査して生糸にする繭を選別した。


繭を岡谷の業者へ依頼して作る「上田産生糸」は、地元の紬織物業者が上質な織物を製作するが、この日集めた屑繭と毛羽は「繭友」が真綿にしたり、クラフトとして活用する。


「一昨年まで参加者を募って行った『クラフトづくり』などのイベントはコロナ禍でできないが、会員はアクセサリーづくりなどの活動を続けていく。毛羽で浴用タオルも作ります」と、笑顔で話す会員ら。活動できることへの喜びと、上田の繭文化の継承・発展への強い意志を示した。

▲「上蔟」作業をする
▲「収繭」作業の様子。光に当てて繭を選別

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