上田市の信濃国分寺(塩入法道住職)で5日、年末の恒例行事で「八日堂縁日」で頒布する護符・蘇民将来符の「蘇民切り」が始まった。
制作する同寺客殿では、蘇民切りに先だち塩入住職が「切り初め儀式」で蘇民将来符を切り出す蘇民包丁を加持清め、作業の安全を祈願。同寺蘇民講(山越文雄会長、11人)の10人は、気持ちを引き締めて作業に入った。最高齢は87歳で、50年以上も蘇民切りに携わっている人もいるという。
蘇民講が制作するのは、3寸(約9㌢)ほどの蘇民将来符約6000体。会員らは黙々と六角錐に整えられた太さ1寸(約3㌢)ほどの、真っ白なドロヤナギの木を3寸の長さに切り蘇民包丁で刻んでいく。山越会長(71)は「皆さんの無事を祈っている。マスクをしない時代に戻れればいい」と話す。
また別室では、塩入住職が高さ8寸(約24㌢)の蘇民将来符に「大福、長者、蘇民、将来、子孫、人也」の文字や魔除けの網文様、正月の松飾りの松葉、注連縄などを黒・赤の筆で書き入れた。蘇民将来符は3寸~8寸まで6種類、計約1万2000体が作られる。
塩入住職は「奈良時代の遺跡・長岡京の井戸からは板に書かれた蘇民将来符が発掘されていて、今のお守り札の原型ではないかと思われる」とし、「説話の牛頭天王は疫病除けの神。求めた人が一年間、平穏で過ごせるように」と話していた。
なお信濃国分寺八日堂は通常、明春1月7日(金)・8日(土)だが「密」を避けるためにと、9日(日)まで延長して開かれる。ただし深夜は閉鎖され、9日の車両規制はない。