別所線100周年を知ってもらいたい―。長野大学生100人と別所線が競争する「別所温泉駅伝」は7日、上田電鉄別所線の沿線で実施。僅差で学生らが勝利した。
同駅伝は、上田市の長野大学環境ツーリズム学部の植田晃弘さん(3年)と今西健太さん(3年)の2人が中心となって企画したイベントだ。地域とともに学ぶ長大生が別所線100周年を知らないことに危機感を覚えた2人は、4月ごろから企画開始。学生の参加者を募るとともに、上田電鉄など多くの地域の大人らの協力も得て実現した。
この日は午後4時6分に上田駅を発車する別所線とともに学生ら100人がリレー方式で走り、午後4時34分に別所温泉駅着の同車両と競争。
気温が上がるなか、別所線の沿線を学生らが走り抜ける。途中、踏切を越えた直後に警報が鳴るなど緊迫した展開もあったという。最終走者を務めた植田さんが「祝 別所線100周年」のたすきを着けて全速力で別所温泉駅舎に走り込み、直後に到着した車両との接戦を制すと、駅で待ち構えていた地域住民らから歓声があがった。
植田さんは「100人皆さんの思いが、たすきをつないだ」と喜びを語る。今西さんは「勝つためにコースを選び何回も計算し、ぎりぎり勝てるかという勝負だった。皆さんの力があり勝てて良かった」とし、「企画にあたり、様々な地域の方に支えられていることを実感できた」と振り返った。
さらに「車社会やコロナなど、いろんな障がいを乗り越えた結果の100周年。これから先も乗り越えていってほしい。別所線を知ってもらう活動を今後も続け、別所線存続につながれば」と語った。
駅伝の様子を見守った上田電鉄関係者は「まさか別所線が負けてしまうとは思ってもいなかった。学生の熱意が勝った」と称え、「素晴らしい企画。これからも別所線を応援してほしい」と話した。