【上田市 】新たに3件が国の登録有形文化財に! 旧松髙産婦人科医院大正館と 同表門及び塀・相澤商店店舗  

信州民報

上田市に所在する3件の建造物が20日、文化審議会文化財分科会の審議・議決、文部科学大臣への答申を経て、今年度中に国の登録有形文化財に登録されることが決まった。


登録されるのは上田市常田の「旧松髙産婦人科医院大正館」1棟と「旧松髙産婦人科医院表門及び塀」1基、同中央の「相澤商店店舗」1棟の計3件だ。


旧松髙産婦人科医院大正館(松髙久さん所有)は、大正時代前期に建築された和風デザインを所々に残す洋館で、木造2階建て寄棟造、鉄板葺、建築面積は33平方㍍。松髙家が大正15年に購入し、産婦人科医院や眼科医院として使用。昭和30年まで診察室として使用され、現在は住居となる。外壁は白漆喰塗りで屋根の中央に半円のアーチが付き、その下には三角形のペディメントを付けており、米国のパラディアニズムの影響が見られる。


旧松髙産婦人科医院表門及び塀(松髙久さん所有)は、洋式建築の大正館の玄関正面にあるもので、高さ・間口ともに2・2㍍の灯具付き石造(花崗岩)門柱と総延長15・1㍍のコンクリート造の塀で構成。ていねいなつくりが洋館の気品ある表構えを形成する。


相澤商店店舗(相澤重忠さん所有)は、昭和10年に建てられた洋風意匠を取り入れた町屋建築で、木造2階建て土蔵造、銅版葺、建築面積は157平方㍍。当時は酒小売り、味噌醸造、炭販売を手がけており、現在も店舗として活用されている。


伝統的な和風意匠を基調とした建物は、遠目には一般的な土蔵造りにみえるが、下屋軒下のアカンサスの浮き彫りや腰壁の大正・昭和初期に流行したスクラッチタイルなど、洋風意匠が加味され昭和初期の気風を伝える。


市教委生涯学習・文化財課の塩﨑幸夫文化財保護担当係長は「指定文化財と異なり、登録文化財は所有者の方に保存していただくのが主。地域の方々に貴重な文化財ということで残し、活用していただきたい」と話した。


なお市内では、信州大学繊維学部講堂や飯島商店などがこれまでに登録有形文化財となっており、今回の3件を加えると計33件(10カ所)となる。また同日、県内では上田市の3件を含む11件が登録されることになり、県内の登録有形文化財は531件となる。
 

▲中央の建物は「旧松髙産婦人科医院大正館」。手前は「旧松髙産婦人科医院表門及び塀」
▲「相澤商店店舗」(写真は上田市教委提供)

[信州民報:2018年7月21日(土)]

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