長和町大門星糞峠に建設された、黒耀石鉱山展示室「星くそ館」竣工記念式典は19日、同所で開催。約40人が集まり、30年余に及ぶ事業の成果を喜び合った。場所は鷹山牧場の黒耀石体験ミュージアムから、遊歩道を30分ほど上がった標高1500㍍の林の中。遊歩道はまさに〝かつての縄文人が黒耀石を拾いながら歩いた道〟だ。
黒耀石は古代には、生活に欠かせないナイフや狩り道具の矢じりの原料などに用いられた、黒く輝くガラス質の石。星糞峠は〝星の落とし物〟黒耀石の原産地・発掘地として知られ、令和元年には「星降る中部高地の縄文世界」として、長野・山梨の14市町村で日本遺産に認定されている。
町では平成3年から断続的に、縄文時代の黒耀石鉱山の発掘調査を開始。同施設建設は平成28年度から令和2年度まで、5年間にわたる「史跡星糞峠黒耀石原産地遺跡保存整備事業」の中核事業となる。黒耀石発掘跡の横幅20㍍、高さ5㍍の地層の断面をそのまま見ることができるという、世界的にも画期的な施設。
長年、黒耀石の遺跡保存を先導してきた町文化財担当課長・大竹幸恵さんは「館内では横幅20㍍の縄文人の発掘したままを復元し、さらに地層に合わせプロジェクションマッピングで縄文人の採掘の様子を再現する世界最高水準の展示」とし、「たくさんの人たちの夢のリレーが形になってきた。感動」と喜ぶ。
羽田健一郎町長は「大竹課長の努力の集大成といっても過言でない」と尽力を称え、「黒耀石を祖先の優しさや平和な社会を築く知恵として受け止め、その感動をより多くの人と共有することが地域の未来を支える力になる」とし、「文化財の新たな保存と有効活用を進めたい」とあいさつした。
開館期間は5月~11月(冬期閉館)、午前9時~午後4時。月曜休館(8月中は休みなし)。黒耀石体験ミュージアム(駐車場あり)で受付が必要。観覧者には遊歩道を歩いて上がってもらうため、入館料無料。ただし体力に自信のない人は車での送迎もあり。今期は20日に開館した。