上田市生塚の西部公園で12日、五穀豊穣を願い田畑の害鳥を追う小正月の伝統行事「鳥追い御幣(おんべ)」が行われ、地元住民ら約200人が参加した。生塚の「鳥追い行事」実行委(実行委員長=上原良明・自治会長)の主催。
鳥追い御幣は徳川藩政時代に行われた由緒あるもので、御幣を振って有害な鳥を追い払う習慣だ。明治・大正時代には盛んに行われていたが、その後は衰退。何度か復活しては途絶えていたものを、地元住民が1989年に復活させて以来、地域の伝統行事として例年、実施している。
この日は、どんど焼きの火やぐらを囲んで「アーレハドンノ鳥追イデ ツバクロドンノ鳥オイテ 三ツにワッテ味噌ツケテ 四ツにワッテ塩ツケテ 佐渡ヶ島ヘ ホーヤラホイ ヨイト ヨイト」と、鳥の仕置きで威嚇する鳥追い唄を謡いながら、紅白の和紙と竹でできた御幣を振って五穀豊穣や家内安全を祈る。
子どもや女性の参加者も多いことから、今年は昨年よりも御幣の数を1本増やした6本とし、地区の子どもらや大人が交代で振った。その後、どんど焼きに点火して御幣も一緒に燃やした。
同実行委事務局・内田守之さんは「昔は県内4カ所で鳥追い行事があったというが、現在は生塚だけで県下では他に行っているとは聞いていない」と、語った。


[信州民報:2020年1月15日(水)]

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