寺尾代表「笑顔のパパを増やしていく
パパが笑顔なら、家族も笑顔になる」
(公財)大同生命厚生事業団(大阪市)が行う助成金事業でこのほど、上田市を拠点に男性の家事・育児支援および父子の絆を強くする活動に取り組む『ファザーリング・ジャパン信州』が、「ボランティア活動・ビジネスパーソン部門」の助成対象に選ばれた。会社などに勤務しながら休日などを利用して活動する人・団体を支援するもので10万円が贈られる。
ファザーリング・ジャパン信州は2019年7月に設立した。父親支援事業「Fathering=父親であることを楽しもう」の理解・浸透を目的に、2006年に設立したNPO法人ファザーリング・ジャパンの支部として活動を展開。代表の寺尾雄二郎さん(49)は2015年6月にパパサークル「パパカレッジ上田」を立ち上げ、父親向け家事・育児セミナーや父子で参加する料理教室、キャンプなどを開催してきた。
寺尾さんは「パパサークルの活動は楽しく充実しているが、活動を続けるほど課題に直面する」とし、「もっとパパたちの笑顔を増やしたい」と活動の充実・広がりを目指し、全国に仲間がいるファザーリング・ジャパンの信州支部を立ち上げたという。
ファザーリング・ジャパン信州の活動はこれまでに、「信州のパパママアンケート調査」「講演・絵本LIVE・パパ座談会」などを実施。またパパネットワークサポートやお出かけスポット情報など、ホームページに掲載している。現在はコロナ禍で活動に制限があるが、月1回『パパの間』と称して Zoomを使った座談会を開催。「全国のパパとつながれるという利点と先進事例を学ぶ機会になっている」と話す。
寺尾さんは課題とし、「会社から早く帰れないパパ」「ママのワンオペ家事育児から起こる家庭不和」「それらの積み重ねによる子どもらへの悪影響」を挙げる。「数年前に参加した講座で『ごみ捨てをやっています』という父親の一人として手をあげたが、『ごみの分別もやっていますか? 収集所に運んでいるだけではないですか?』に肩身が狭くなり、下を向いてしまった。本当の家事・育児とは…を気付かされた瞬間」という。
そして「この10年で制度も意識も大きく変わったが、まだママたちの悲鳴は消えていない」とし、「男性の育休取得を進める活動に力を入れていく」とした。さらに「行政と連携した活動も進めている。いい育児の日『11月19日』の県の取り組みでは、企画に携わっています」と語る。
20歳と10歳の子どもを持つ寺尾さん。「自分は完ぺきなイクメンではない」と言い、「父親を楽しんでいる一人です」と微笑む。そして「今回の助成に感謝し、縦・横のつながりで笑顔の父親を増やしていく。パパが笑顔なら家族も笑顔になる」と話した。
なお大同生命の助成事業は「地域保健福祉研究助成」「ボランティア活動助成(シニア、ビジネスパーソン)」があり、今年度は過去最多の計147件、総額2200万円の助成が行われた。「新型コロナウイルス関連テーマの研究」に対応するため、地域保健福祉研究の助成金を増額したという。
県内では計6件が選ばれ、うち3件が「ビジネスパーソンボランティア活動」だ。贈呈式は新型コロナにより2年連続中止となり、受贈者へは贈呈状が郵送された。

