上田ゆかりの芸術家で教育者の山本鼎(1882~1946)が情熱を傾けた版画芸術。その若手作家の登竜門、第8回「山本鼎版画大賞展」が上田市天神のサントミューゼ・上田市立美術館で始まった。
3年に1度の全国公募展だが、新型コロナの影響で2020年から1年延期となり、今年あらためて作品を募集。37都道府県の20代~80代、幅広い年代から303点の応募があった。今回は初めて一次審査に画像審査を導入し、WEBによる応募も可能としたところ応募総数が増加し、若者層の割合も高くなったという。
二次審査は作品を並べて改めて審査員で協議をし、入選作品156点(うち入賞9点)を決定。今展は入選作品156点を一堂に展示するもので、その見どころについては「大賞受賞作はじめ、みずみずしい感性による作品群が集結した」とする。
大賞受賞作品は、芦川瑞季さん(武蔵野美術大学生)の『親和力』で、「幾つものイメージやモチーフを異なるタッチで描き分けながらも、一つの版で表現することに挑んだ独創性にあふれる作品だ」と評価されたもの。準大賞以下も20代、30代の作品が目立ち「若手作家の活躍がみられる」という。
明治から大正にかけて「日本の近代版画」の扉を開いた山本鼎ゆかりの地で、次代を担う作家の作品がずらりと並ぶ展覧会。1年延期や未だ収束しないコロナ対策の苦難を乗り越え、湧き上がる芸術の力を多くの人に伝える。
また1999年の第1回から2018年の第7回までの大賞・準大賞作品を紹介する、「歴代受賞作品展」も同時開催中だ。会期は11月14日(日)まで。なお歴代受賞作品展は12月19日(日)まで。時間は午前9時~午後5時、火曜休館。入場料は一般500円、大学・専門学校生300円、高校生以下・70歳以上・障害者手帖携帯者と介助者1人は無料。
10月16日(土)午後1時45分~3時、受賞者と審査員が作品について語る「トークセッション」を行う。また10月17日(日)午前11時~12時、木村秀樹審査委員長(京都市立芸術大名誉教授)が今展入賞・入選に関して開設する「ギャラリートーク」を行う。なおイベントは10月15日(金)までに上田市立美術館へ電話(27‐2300)で申し込みを。