東御市本海野の「千曲川護岸」災害復旧工事の不具合事象について、国土交通省千曲川河川事務所(長野市)と受注者の大手ゼネコン大林組(東京)は24、25、26の3日間、地元・本海野区で住民説明会を開催。不具合の発生原因と改善措置方針を説明し、住民からは多くの質問や意見が飛び出した。
同説明会最終日の26日は、住民ら約20人が参加。護岸工事の全面的な再施工をするとした大林組は、工事期間について4案を提示。騒音や振動・照明対策をした上で、24時間体制で毎日行う最短の105日案を考えていると伝えた。
騒音・振動対策は防音シートを設置し、夜間作業中の照明については「作業員の安全を確保するため現場全体を明るくする。地域側に光を当てないようにナイターの角度を変え、照らす場所によって機械を使い分ける」とした。
住民説明会は3日間で延べ64人が参加し、参加者からは「取り壊しから再施工を105日で行う突貫工程で、品質を確保するあまり事故が発生するのではないか」「とにかく事故がないように」「昼夜の施工は住民に影響が大きく、危険性が増す。多少、期間は伸びても問題ない」「安全に確実な作業をやってほしい」「早い工事よりも着実にお願いしたい」など、昼夜の施工に安全面で心配な声が多い。
また「夜間工事の可否は近隣住民の意見を聞いて対応してほしい」「夜ここまでやる必要はあるのか。夜に事故がないよう、8時~18時のところを7時~19時にするなど、128日を少しでも短くする内容を希望する」など、夜間の作業に対しての意見が多く飛び出した。大林組は再施工期間について、3回の地元説明会で集約した意見を踏まえ決定したいとしている。
工事箇所に一番近い地元・第一支区からも「月曜から日曜の昼間施工(8時~18時)128日をベースに、早出残業(7時~)を加えてもう少し工期を縮める案を」という意向が出されたという。さらに最終日には、大林組北陸支店の対馬祥一・土木工事部長が「見学会などを計画し、わかりやすい現場にしていく」と伝えた。
同工事は令和元年10月の台風19号で被災した護岸の復旧工事で、権限代行制度に基づいて国が県に代わって行い、大林組が受注。不具合事象は4348カ所で大型ブロック背面に空洞があり、9123カ所で大型ブロック間に段差や目開きなどができた。また2カ所(112㍍)に法留基礎未施工などが生じている。
