上田市中央西の㈲AGI(エー・ジー・アイ)=甲田安廣社長=はこのほど、同社で開発した小型の次亜塩素酸ナトリウム希釈装置「ラクロル」(定価29万8000円)1基を上田市に寄付した。
次亜塩素酸ナトリウム希釈水は殺菌や漂白剤として利用され、病院や介護現場などでは次亜塩素ナトリウム原液(5~6㌫)を希釈して使っている。しかし大型の希釈装置のないほとんどの施設では毎日、看護師や介護士らが手作業で目分量でやっているという。
1㍑の水に対して、たらす原液はキャップ1杯以下。手間もかかり、作る量によって、人によって濃度が違ったり、余れば捨ててしまう。そこで長年、大型の希釈装置を製造販売していた同社では、メンテナンスに回っていた際に、「必要な時に必要な量だけあればいい」の声を聞き、小型の装置の開発に取り掛かったという。
甲田社長はこの日、構想2年間の手作業の開発の苦労を話し、「市の新技術等開発事業助成金(300万円)の採択を受け、昨年春から本格的に製造に取り掛かかり11月に完成した。市内の各種業者の協力のおかげ。これで手軽に安心して使えるものが、必要なだけ作れる。活用できる場所でぜひ」と伝える。
装置は、短時間で規定濃度の次亜塩素酸ナトリウム希釈水(アルカリ性)が作れるだけでなく、別売りのキャップでPH調整することで、さらに人体にも安全な次亜塩素酸ソフト水(中性)にも変わり、空中噴霧も可能となるという。
小林一彦・健康こども未来部長は「すばらしい。必要に応じて購入の検討もしたい」とし、大矢義博・商工観光部長「市の助成金が活用され、こんな素晴らしいものができてうれしい」と話した。装置は市健康こども未来部に置かれて現在、中性希釈水は市の公共施設などに必要に応じて配布されている。
なお㈲AGI(エー・ジー・アイ)は、本紙6日付け2面「特集記事③」で掲載している。
[信州民報:2020年3月12日(木)]
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