大桂商店7代目・小林大史さんに聞く信州味噌醸造元は今年創業201年目 生産者の思い乗せ懸命の味噌づくりを

信州民報

文政4年(1821)創業の信州味噌醸造元「大桂商店」(上田市上丸子)。今年、201年目の歩みを進めている。


「味噌づくりの原料は大豆・米・塩だけ。厳選した材料を、手間を惜しまず仕込む。信州の四季により自然に熟成された味噌は、味はもちろん、香りも違う」と、『手造り』『天然醸造』『無添加』『吟醸』『生』にこだわり、伝統的製法を貫いている。


使用するのは、地元を中心とした長野県産と北海道産の極上大豆。米は長野県産、塩は天日塩ほかを味噌により使い分けている。そして米こうじは今や希少となった、手造り・麹蓋製法を用いて杜氏が丁寧に造り上げる。地元・武石地域で契約栽培した「つぶほまれ・こうじいらず」という、大粒の希少な大豆を使う『奏龍(なきりゅう)味噌』は看板商品だ。


店舗での販売は「蔵出し量り売り」を堅持。「生きている味噌は、わずかながら発酵が進み続けている。味噌樽から掘りたてのフレッシュな味噌を提供する」とのこと。オンラインショップでも、「注文後に計量し、直送します」という。


7代目・小林大史さんは2007年に実家に戻り、6代目の父・群史さん(杜氏)からノウハウを引き継いだ。伝統を守ると共に、工学部進学から料理人として積んだ実績を活かし、広い視野とアイディアで『味噌』から広がる輪を創り出す。


地産地消・地域活性化に力を入れ、大豆生産者・柿嶌洋一さんとタッグを組んで創り出した『奏龍味噌』は、多くの地元ラーメン店や和洋菓子店で新商品化された。


また飲食店やホテルなどでのコラボ料理イベント開催、メニュー開発を行い、都内飲食店のアドバイザーも務めて味噌の魅力を発信。地元はもちろん、信州と首都圏の懸け橋として奮闘中でもある。「一般のお客様からプロの方まで、直接相談しながら料理に合う味噌の提案をしたいと思っている」と語る。


新型コロナ禍で迎えた創業200年、そして201年目。イベントができない中、店には「300年を目指して」といったメッセージが寄せられている。7代目は「大変な状況下にあるお取引き先、そして生産者の思いを乗せて一生懸命味噌を造っていくことが、今やれること」と話す。


そして「食を見直す機会でもあり、『発酵食』『基礎調味料』への関心も高まっている」とし、「味噌の良さ、味噌をバランスよく活用したワンランク上の食の楽しさを伝えるため、お客様・お取引き先・飲食店などと交流を図っていきたい」と語る。


家族を中心に社員らと心を込めて創り出す商品は、バランスよく全ての料理に合う『奏龍みそ(中甘口)』、旨味系の『奏龍大吟醸 雅(みやび)』、こしタイプ『奏龍甘味噌』、昔ながらの味噌『粒みそ』、そして『特上味噌』『発芽米みそ 芽(めばえ)』『吟醸仕込み 誉(ほまれ)』、さらに「焼きおにぎりや野菜に付けてどうぞ」という『店主の隠し味噌』など。購入は店舗またはオンラインショップで。住/上田市上丸子991‐1。℡/42‐2054。 

▲伝統を守り、味噌の魅力を発信する7代目・小林大史さん
▲200年の歴史を持つ「大桂商店」

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