講演は『千曲川の現状について』
上田市、千曲市、東御市、坂城町および上小・更埴漁協などでつくる、「千曲川の恵みを取り戻す会」の設立総会が1月30日、オンライン開催された。
千曲川の環境が大きく変化する中、かつて「アユ釣りのメッカ」だった千曲川の復活を目指し、外来魚の駆除などを行って次の世代に繋いでいこうと、流域の関係団体・者が連携して取り組むものだ。総会は上田市役所(ホスト)、千曲市役所、東御市役所、坂城町役場などをweb会議システム(Zoom)で繋いで行った。
発起人代表として、土屋陽一上田市長が「アユやウグイなどの在来魚が棲みやすく、住民に愛される千曲川の環境づくりに取り組み、水産業や観光産業の振興と共に、地域活性化につながる取り組みをしていきたい」とあいさつ。また来賓の国交省・千曲川河川事務所の齋藤充所長は「生物多様性に富む千曲川の環境保全など、同会に大いに期待する」とした。
設立経過を、宮下省二上田市議が報告。「千曲川の研究を行っている中村浩志信大名誉教授を講師に招き、平成31年1月に行った『千曲川の恵みを取り戻す講演会』を起点に、関係市町村へのアンケートを経て会設立に向けて準備会を発足させ、上田市、坂城町、千曲市と上小・更埴漁協の2市1町2漁協により準備を進めてきた」とし、「令和3年12月に上小漁協から上田市へ、更埴漁協から千曲市・坂城町へ、会設立の要望書を提出。今年に入り上小漁協から東御市へ要望書を提出し、賛同を得たことから3市1町2漁協の協力により会設立の運びとなった」と伝えた。
この日は会の規約・役員選任・事業計画などについて協議し、承認。結果、同会会長は土屋陽一上田市長、副会長は小川修一千曲市長、花岡利夫東御市長、山村弘坂城町長の3人が務め、相談役に中村浩志信大名誉教授、平林公男信大副学長・教授の2人を選任した。事務局長は上小漁協の坪田秀彦事務長、副事務局長は更埴漁協の久保正治専務理事が務める。
また運営委員会を置き、委員長は千曲川流域学会の藤森靖夫さん、副委員長は上小漁協の北條作美組合長と更埴漁協の水澤憲治組合長が務め、委員は各市町の関係部署職員と長野大学・淡水生物学研究所の箱山洋所長(教授)で構成する。
事業内容は「学習会などによる啓発」「調査・研究」「外来種駆除など環境整備」などで、「国・県などの関係機関の協力を得て実施していく」とする。またこの日は学習会として、『千曲川の現状について』をテーマに講演を実施。講師は信大の中村浩志名誉教授、同大副学長の平林公男教授、長大・淡水生物学研究所所長の箱山洋教授が務めた。
「千曲川は自然の宝庫。昭和14年まではサケ漁も行われ、その後はウグイのつけば漁・アユ釣りのメッカとし、地域の風物詩となった」「コクチバスなどの外来魚が増え、在来魚が減少。つけば小屋も大きく減少した」「外来魚駆除対策は多くの人が協力し、色々な方法で年間を通して行わなければならない」などと報告。
また「令和元年の台風では、河川・河床・植物など周辺環境が大きく変化した。一方で中規模かく乱は健全な河川環境に必要。生態系に配慮した治水・利水が求められる」など、千曲川の歴史・文化・自然と環境保全に関する学術的見解が伝えられた。なおこの日の模様は後日、YouTubeで配信する予定だという。