上田市は25日、令和3年文芸欄年間優秀作品表彰式を市役所本庁舎で開催。毎月「広報うえだ」に掲載する、文芸欄投稿作品の年間優秀作品作者らに表彰状を授与した。文芸欄の年間優秀作品表彰は昭和58年から始め、今回で39回目。
広報うえだには昨年1年間で短歌835首、俳句1533句、川柳893句が投稿され、選考の結果、各部門1人ずつの計3人が年間優秀作品に選出された。
短歌は、菊池三冶子さんの【あの頃の 吾にあいたく 履いてみん 下駄箱のおくの 朱色(あか)きヒールを】が、俳句は松沢昭一さんの【病室に 歌人俳人 小鳥来る】が、川柳は大林正樹さんの【城と湯を ロマンでつなぐ 赤い橋】がそれぞれ受賞した。
この日は、受賞者3人と各部門の選者3人が土屋陽一市長らを訪問。土屋市長は3人に表彰状を授与し、「文芸欄が長きにわたり市民のみな様に支えられ、親しまれてきたことをうれしく思う」と感謝も伝えた。
菊池さんは若いころ、東京にいた時に自身の給料で買った気に入った靴について詠み、「大事に履き、上田に連れてきて捨てきれないであった。その靴を履いてみて、できた歌」と紹介。短歌選者・小宮山久子さんは「言葉の使い方や言葉の省略がユニークで、すごく詩的・文学的に感じた」と講評。
松沢さんは「入院した時に読んだ句。俳句をやっていたおかげで退屈もせずに日々、俳句作りに精を出していた」と振り返る。俳句選者・島田洋子さんは「力が抜けていて自然体で心の奥を詠んでいるので、じんわりと心に沁みてくる句になった」と講評した。
また大林さんは「赤い橋は、皆さんが何とか盛り上げようとしている姿が非常にうれしかった。長く存続していただければ」と思いを語り、川柳選者・斉藤俊酔さんは「洗練された表現に惹かれ、心から離れなかった」と講評した。