上田市中央北の海禅寺(飯島俊勝住職)で23日、恒例の「人形供養会」が開かれた。
「使命を終えたあまたの人形たち その存在を永遠にせんが為 ここに静に眠らせん…」(人形供養碑より)と、昭和60年に始めた同会は37回を数え、すでに8万3000体もの人形を荼毘に伏している。今年も市内外から雛人形や日本人形、五月人形など3000体もが集まった。なかには江戸末期に作られたと見られる寛永雛や戦後の本作り雛セットも。
今回、荼毘に伏される人形は本堂前の雛段と本堂周囲に並べられ、飯島俊哲副住職は「コロナで外出できず家を整理する人が増えたのか、集まる量が多い。人生の節目を飾った大切な人形で緊張する」と話す。また舞踊人形を持ってきた94歳の市内女性は「遠くへ嫁いだ娘の代わりに見ていた人形。娘がもう60になるし、私も年だし」と話し、人形供養碑に手を合わせていた。
約300人の参列者が見守るなか火が点けられ、僧侶らの読経におくられて自分の可愛がった人形が荼毘に伏されてゆく。参列者は手を合わせ、万感の思いを込めて煙の立ち上る晴れ上がった初冬の青い空を見上げていた。また同寺ではこの日、墓所に新設した永代供養堂の開眼法要も執り行った。