上田市の武地域協議会(池内俊郎会長、委員20人)は20日夜、武石地域総合センターで会議を開催。今年4月に開いた今年度1回目の会議で、土屋陽一市長から諮問のあった「武石診療所のあり方について」について答申を行った。
上田市武石診療所(所長=廣瀬聡医師、内科・外科・小児科)の医療体制は、医師(1人)、看護師(4人)、理学療法士(1人)、事務員(3人)。午前は外来診療、午後は往診・訪問診療を行う。
諮問は、少子高齢化による人口減少に伴う患者数減少、医師1人での対応の限界、働き方改革による診療の方向性、診療所を維持するための特別会計(基金)が枯渇してきていることなどの理由で、高齢者など地域住民の健康・命を守る地域医療の要である診療所のあり方を諮問したものだ。
同協議会では診療所の状況と課題を審議し、地域住民の診療ニーズなど幅広い視点から審議を重ね、方向性をまとめた。この日は池内会長が「持続可能な診療所の運営―診療所を無くさない―」を基本方針とした答申書を、武石地域自治センター・下村孝之センター長に手渡した。
答申書では、診療体制の見直しについて「複数の医師の関与による診療所の運営へ移行すべき」「診療ニーズから24時間365日の宅直制度を廃止し、近隣の医療機関との役割分担・機能分担を進めるべき」などとし、連携・統合・再編については「歴史的経緯や地理的条件から国保依田窪病院との連携を進め、近い将来には医師確保の観点から同病院との統合・再編を検討すべき」などと方向性を示す。
また「訪問対面診断を基本としつつも、遠隔(オンライン)診療やヘルスケアモビリティ(医療機器搭載車両で患者の自宅などへ出向き、車内でオンライン診療を行う)など、ICTの活用を進めることで在宅医療の充実を図るべき」とした内容も盛り込んだ。
そのほか、市の役割としてはプライマリーケア(普段から何でも診てくれ、相談に乗ってくれる身近な医療)の継続や地域医療・在宅医療への財政支援、医師を含めた医療スタッフの確保に対する行政支援などを求めている。
答申書を受け取った、下村センター長は「診療所については武石地域唯一の医療機関で、なくてはならない施設という答申。どうやったら守っていけるかというところも含め今後、取り組んでいきたい」と伝えた。