生活に必要不可欠な水の大切さを知り、自然環境に対する意識を高めて持続可能な社会を構築していこう―と、上田市は昨年から「いい水シンポジウム」に取り組んでいる。3日には「水道事業の先進事例と上田市を含めた水道事業広域化について学ぶ」とし、「全国における水道事業の連携」をテーマに第6回シンポジウムを開催。会場の市中央公民館には、市民ら約50人が参加した。
この日は、岩手中部水道企業団参与(前局長)の菊池明敏さんが「水道事業を取り巻く現状と広域連携による基盤強化」と題して講演。人口減少・水需要の減少、インフラの老朽化、水道職員(人材)の減少という現状・課題を挙げ、10年かけて広域化・広域連携構想を練り上げ、平成26年に岩手中部水道企業団を創設。北上・花巻・紫波の水道事業を統合させ、効率化・ダウンサイジングを図ってきた経緯を伝えた。
また広域化のメリットとして規模の適正化、技術の継承、経常経費の圧縮、料金格差の解消などを挙げ、「水道事業を真剣に考えるヒトを育て、次の時代につなげる取り組みを早急に」と訴える。その後は清水卓爾さんの司会でパネルディスカッションをし、パネリストの中本信忠・信大名誉教授、県企業局上田水道管理事務所・小林司所長、市上下水道局・三浦哲夫局長が語った。
県と市は前回、水道事業について「人口減少による水需要の減少がもたらす経営環境の悪化」などの課題を挙げ、平成30年12月公布の改正水道法で経営基盤・技術基盤を強固なものにするため、「県営水道と給水区域が重複する3市1町(長野市、千曲市、坂城町、上田市)と県企業局の5事業体は広域化の必要性、効果などの検討を行う」と伝えていた。
この日、パネリストからは「踏み込んだ取り組みが必要であることを痛感。市水道は令和5年に給水から100年を迎える。次を見据えた取り組みが大事」や、「持続可能な水道事業に取り組まねばならない」などの声が。なお参加者からは、活発な質問・意見があった。