【上田市】弓道協会弓道場の「安土幕」新調に向け揮毫言葉は弓道の精神示す『澄心静慮』 

信州民報

上田市弓道協会(倉島康示会長、100会員)は25日、上田城跡公園弓道場の的場に張る「安土幕」の新調(令和4年1月予定)に向け、弓道の精神を示す言葉を新たな幕に書き表した。


同協会会員(錬士六段)で書家の両角喬夫(閑堂)さん(88)が筆をふるい、楷書で『澄心静慮(ちょうしんせいりょ)』と揮毫。「心を澄まして、静かにおもんばかる」との意味を持つ。


言葉は両角さんが示した複数の候補から、協会員の希望で決定したもの。4年前から使用している現在の安土幕には『謹禮崇徳』(礼儀を重んじて、善行を尊重する)と書かれており、その前は『射裡観徳』(射を通して、その人の人間性を観る)との幕を使用していた。


これらは全て両角さんが揮毫したもの。「弓士が的に向かう時、幕の文字が目に入る。心を込めて書かせていただく」とし、「これまで草書としたが、今回は読みやすいよう楷書とする」と話す。幕の大きさは約30㍍×90㌢㍍。風・雨・雪にさらされ、また矢が幕を射抜くこともあるため4~5年で傷んでしまうが、今回は厚手の生地を採用して耐用年数を延ばしたいという。


この日は倉島会長ら協会員が見守る中、精神を集中させて揮毫。両角さんは「布への揮毫は難しく、今回は生地が厚いので濃墨を準備した。新布の初めての感触に書き損じるわけにいかず、緊張する」とし、「体調を整えて、予行演習を十分にしてきた」と語った。


同協会・施設部長の坂口光広さん(四段)は「今年度事業として計画したが、新型コロナで道場閉鎖の期間もあり実行できるか不安もあった」と言い、「秋晴れの佳き日に無事、実行できて嬉しく思う」と話す。倉島会長は「協会員一同、新しく書かれた『澄心静慮』を心に留めて的に向かい、正しい射を求めて修練していきます」と語った。

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