東御市田中の土蔵ギャラリー胡桃倶楽部で13日(月)まで、上田市在住の陶芸愛好家・都築誠さんの作陶展「陶工房千古の滝窯 椀子信楽焼」が開催中だ。
1938年生まれの都築さんは、1980年に旧丸子町の埋蔵文化財調査委員となり、穴窯・登り窯などの焼成方法を習い、作陶を始めた。以来7種の薪窯を焚き、作品を「椀子(まりこ)信楽焼」「椀子備前焼」と命名している。
1999年に上田市真田町に「千古の滝窯(穴窯)」を造って以来、仲間と共に年3回、赤松の薪を用いて窯焚きをしてきた。2011年の80回目窯焚き達成時に「80歳・100回窯焚き」の目標を立て、挑戦を続けてきた都築さん。
近年は窯焚きを年1回としたことから、今年4月~5月に行った窯焚きでついにその目標を達成した。「40年…、長かった」と都築さん。今展では、その100回目の窯焚きで生まれた作品を紹介している。
高温で焼成する信楽焼は、置く場所で温度や自然釉のかかり方が異なることから、自然が織り成す風合いが最大の魅力だ。都築さんは鉄分量の違う信楽の土を使い分け、茶器・湯呑・コーヒーカップ・ぐい飲み・皿・花器・壺など、多彩な作品を創り上げる。
展示された一つひとつの作品は、それぞれ薪窯による自然の作用で趣が異なり、奥の深い美しさを織り成す。大きな壺では自然釉の流れそのものが〟景色〝となり、大きな魅力となる。
都築さんの祖父・綱吉さんは、愛知県出身の窯業家で主に瓦を作っていたとのこと。父・柏三さんも焼きものに取り組み、歌人「白樺(はっか)」として活躍。都築さんは今、「2代目白樺」と名乗り陶芸に精を出す。100回達成後も、千古の滝窯が生み出す作品の魅力を伝えようと作陶、展示会の開催に取り組んでいく。
なお今展の開催時間は午前10時~午後5時。次回の窯焚きは来年4月~5月の連休に予定しており、参加者を募集中だ。