【上田圏域】阿部知事がオンラインで意見交換会商工業者から厳しい現状や課題が…上田合庁

信州民報

医療非常事態を宣言し、全県感染警戒レベルを5として「新型コロナウィルス特別警報Ⅱ」(8月20日~9月2日)を発出している長野県。阿部守一知事は27日、上田圏域の感染防止を図ろうと意見交換会に臨んだ。オンラインで参加した知事は現状の認識を伝え、上田地域振興局の永原龍一局長と共に、地元商工観光関係4団体と1事業者から話を聞いた。


上田合庁の講堂に集った関係者らに阿部知事は、直近のデータを示して現状を説明。「県の陽性者数は直近1週間ほぼ横ばい。上田圏域は84人から67人と少し下がっているが、高い水準を継続している」とし、「第5波(デルタ株)はこれまでに比べて感染拡大が速く、厳格な対策をお願いしたい」と伝えた。


また「陽性者の約半分は20代以下で、65歳以上は6%以下。ただし入院者は40代・50代が多く、65歳以上は約16%」とし、「ワクチンは確実に効果があるがブレイクスルー感染があり、ワクチン接種が済んだ高齢者も対策を継続し、若い人たちは積極的にワクチン接種を行い県民一人ひとりが行動を見つめなおして、この波を抑えるため協力してほしい」とした。一方で「病床使用率は50%前後で推移しており、入院を必要とする人は確実に入院できている」とし、「これを維持していくためにも県民の協力が必要」とした。


この日の出席者はそれぞれの立場から、厳しい現状と課題を伝える。上田青年会議所・酒巻杏里理事長(㈱ハビタットディレクター)は、『上田わっしょい』などのイベント中止をはじめとする地域活動への影響を伝え、同世代の課題として「妊婦のワクチン接種」について見解を仰いだ。


上田商工会議所女性会の原有紀副会長は、味噌醸造蔵元・酒の原商店の女将として業界の現状を報告。「味噌の業務用の需要は3~5割減。酒蔵および酒類販売店は八方塞がりの状態」とし、「県事業『信州の地酒販売促進キャンペーン』に期待するが、その後が不安」と述べ、中小企業におけるワクチン接種について質した。


鹿教湯温泉観光協会・斎藤完治会長(斎藤ホテル社長)は、宿泊業界について「台風から2年にわたり厳しい状況が続いている。鹿教湯は7割減、別所は7~8割減、菅平は9割減」と伝え、「Go Toは効果があった。取り戻すためには3~5年と継続した支援が必要」と訴えた。


上田市袋町商工振興会・尾澤英夫会長(香青軒代表取締役)は、飲食業界について「県の『信州の安心な店』の認証を受け、売り上げが大幅に減少する中でも本気でコロナ収束に向けて頑張っている店が多い」とし、「協力金など支援金が手元に届くのが遅く、経営に行き詰っているのが現状」と訴える。また「感染拡大が長引き、警戒レベルが上がっているのに緊張感が薄れている。啓発の工夫が必要」と提案した。


日置電機㈱・巣山芳計取締役専務執行役員は「供給責任を果たすため、経済を回すため、コロナ対策をしっかり行い社員に徹底させる努力を続けている」と伝え、「その中でコミュニケーション不足による、若い社員への影響の大きさを痛感。メンタルヘルスが課題だ」と述べた。


これらの意見に対し、阿部知事は「県のワクチン接種は円滑に進んでいる。さらに妊婦およびその家族へのワクチン接種、希望する人への早期接種も進めていく」と、ワクチン接種について話す。さらに「観光・飲食および関係業種への大きな影響を承知している。支援体制をもう一度、全体的な視点から見直し、幅広い業種を対象とする県独自の支援を検討していく」などと応じた。また永原局長は「率直な意見をいただき、今後に生かしていきたい」とし、予定時間を延長して行った意見交換会を閉じた。

▲会場の様子。阿部知事とオンラインで意見交換した

関連記事一覧

特集記事

TOP