上田市の上田城跡公園内・市立博物館で特別企画展「戦国武将の書状展―真田幸村の自筆手紙を中心に」がこのほど、始まった。当時の武将たちの生の声が感じられると同時に、現代と文書作法の違いなどがみて取れて興味深い。
展示書状は23点。うち真田昌幸・信繁(幸村)、織田信長、豊臣秀吉・秀頼、石田三成、徳川家康、直江兼続、伊達政宗など著名な武将や、千利休など桃山文化の中心人物たちの書状14点を三重県の収集家コレクションから借用した。文書には、それぞれ現代語訳と解説が添えられている。
信繁(幸村)が九度山に配流時代に、姉・松が嫁いだ小山田茂誠(しげまさ)に宛てた老いを嘆くような有名な自筆書状は、行方不明だった原本が平成28年に発見されたことから、大河ドラマ『真田丸』放送期に同博物館と松代で展示されているが、それ以外の13点は県内初公開となる。
幸村の自筆書状は大阪城入城の年(1614)に書かれており、「私なんぞは去年から急に老け込んで…歯も抜けてしまい、髪も黒いところはあまりありません…(現代語訳)」とある。同博物館の前館長・滝澤正幸さんは「手紙はチェックされるのを見越して書いたという説もあるが、信繁の性格からして素直に現況を姉に告げている」と説明した。
また「戦国武将たちは本文の最初に余白を空けておいて追伸を冒頭から書き、空けておいた空間に書ききれないと、本文の行間に書くといった形式をとるのが現代と違うところ。本音はこの追伸部分に書かれることが多い」とし、「当時の武将の手紙を通じて、書状が伝えてくれる様々なものを感じてほしい」と話す。
特別企画展は10月5日(日)まで、時間は午前8時30分~午後5時(ただし入場は午後4時30分まで)。ただし上田市は6日~18日(火)まで「市感染対策強化月間」で、感染対策のため市立博物館は7日から休館となっている=本紙13日付2面に掲載=。
通常の休館日は水曜と9月21日、24日。入館料300円(高校・大学生200円、小・中学生100円、障がい者及びその介助者、上田地域定住自立圏内の高校生以下無料。団体割引あり)。問い合わせは℡22―1274(同館)へ。