上田市中央公民館でこのほど、「人口減少時代を迎えた水道事業」をテーマに第5回「いい水シンポジウム」を開催。基調講演は市総務部長の柳原渉さんが「人口減少時代における我が国の課題と地域の課題について」と題し、日本や上田市の人口推移と持続可能な社会の実現、インフラ長寿命化の取り組みについて伝えた。
市は「自然環境への意識を高め、住みよい上田のまちづくりにつなげよう」と、生活に欠かすことのできない「水道水」をテーマに、昨年2月から取り組んでいる。これまでに「おいしい水を精製する仕組み」を学び、浄水場を視察して「水を浄化する過程」を確認するなどしてきた。
今回は少子化対策を踏まえた人口減少の見通しを示し、市の第二次総合計画後期まちづくり計画(令和3年3月)で、重点プロジェクトとして「市民協働推進」「人口減少対策」「健幸づくり」に、新たに「子育て支援」「最先端技術活用」を位置づけたことを伝える。
そして公共施設(建築物、上下水道などインフラ)の保有状況・将来費用推計を示し、「適切な維持管理、総量の縮減、統廃合による集約化・複合化、耐震化、長寿命化など公共施設マネジメントに取り組む」とした。
シンポジウムは、長野大学名誉教授の長島伸一さんが司会進行役を務め、県企業局上田水道管理事務所の小林司所長と上田市上下水道局の三浦哲夫局長が水道事業の課題と展望を伝える。課題として県・市ともに、「人口減少による水需要の減少がもたらす経営環境の悪化」「施設・設備の老朽化」などを挙げた。
そして平成30年12月に公布された改正水道法で、経営基盤・技術基盤を強固なものにするための手段として、「水道事業の広域連携の推進」が盛り込まれたことを伝え、「県営水道と給水区域が重複する3市1町(長野市、千曲市、坂城町、上田市)と県企業局の5事業体は広域化の必要性、効果などの検討を行う」とした。
この日は、一般市民ら約20人が来場。「水道事業の現状と課題、将来展望」について熱心に聴講し、学びを深めた。