【インタビュー】別所線100周年記念特別企画 別所温泉駅伝~長野大学生の挑戦~

編集部

台風19号による鉄橋の落下によって大きな注目を浴びることになった「上田電鉄別所線」ですが、2021年3月に復興を果たし、6月19日には100周年を迎えるという大きな節目となっています。

コロナ禍の影響でイベント事が大々的には行うことが出来ないなか、復興のセレモニーをはじめ、100周年記念式典も行われてきましたが、この100周年記念を祝いたいという大学生の取り組みがありました。

「集まる」ことが許されない時代に、若い世代の奇抜な発想から誕生した企画。密を作ることなく大勢の参加者を巻き込みながら、協力し合った達成感を味わえるイベント。

別所線のお祝いというテーマで、大学生たちの想いが一つになる、そんな魅力的な企画の代表者である2人の大学生に話をお聞きしました。

Q.今回の企画を計画したきっかけは?

植田:私は別所線への応援メッセージを車内に掲載する「別所線かけはしプロジェクト」の代表として、市民と電鉄をつなぐ活動をこれまで行ってきました。千曲川橋梁が復旧する少し前、電鉄の方から2021年に電鉄が100周年を迎えることをお聞きしました。私は、同じく今年で100周年を迎える本校長野大学と電鉄が同い年であることに驚き、今度は長野大学生と電鉄をつなぐ活動をできないか考えていたところでした。そこで、柳町で精力的に活動している今西君に相談したという訳です。

今西:植田君から、4月24日に相談を受けた事がきっかけでした。初めて相談を受けたときは、別所線が100周年だから何か企画をしたいという漠然とした相談でした。私自身、別所線が100周年という事を植田くんに聞いて初めて知り、別所線100周年という事実を自分の周りの学生がほとんど知らないということにも驚きました。長野大学は「地域と共に」ということを掲げている大学です。そんな長野大学に所属する長野大学生が別所線100周年を知らないという事に危機感を覚え、今回の企画を計画しました。しかし、より詳しい話をしていく中で、様々な企画の案はあるが、コロナの関係で実施は難しいということも知りました。

Q.この企画の魅力はどんなところでしょうか?

植田:まず純粋に、人と電車が競争するというところだと思います。全線を一人で走破してもおそらく勝てませんが、一人当たりの距離を短くしリレー形式にすれば、案外悪くない勝負になりそうだと分かりました。別所線があまり速くないのもあると思いますが(笑)。

参加者である長野大学生も、通学で普段降りない沿線の景色や街並みに触れることで、今後、上田での地域活動してみたいという気持ちが芽生えるかもしれません。この企画が大学生と別所線沿線の、次なるまちづくり活動の種まきになれば幸いだと思います。

今西:やはり、この様な100周年のイベントがなければ、鉄道に勝負を挑もうと考える人はあまりいないと思います。そんな中、私たち実行委員会は「このルートの方が走りやすいのではないか」や「この道の方が勝てそうだ」という議論を重ね、実際にルートを自転車や徒歩で通ってみて、鉄道に勝つための方法を真剣に考え、本気で勝負に挑んでいるという事が、この企画に魅力の一つであると思っています。

また、コロナの状況下で行う事でも、大人数で行う事が出来るという事もこの企画の魅力です。このご時世にイベントを行うさいにコロナの事を考えずに行う事はできません。一般的にコロナの事を考えるとやはり少人数で、小規模で行う事しか出来ないと考えてしまいます。しかし、本イベントは、当日100人近い関係者が関わります。これだけ多くの人が参加しますが、屋外で、密にならず、コロナにとても配慮した企画です。企画はこじんまりと行うべきであるという今までの概念を覆すような企画で、コロナを配慮した上でもイベント自体は楽しむことが出来るという点もこの企画の魅力です。

Q.この企画の準備段階で苦労したことは?

植田:今回の企画は、10名弱の実行委員会で学生100人を完璧にオペレーションする必要があるため、コロナ・交通安全対策で協議しなければならないことが山のようにありました。それを一つ一つ、全員同意のもとで解決していくのは骨が折れました。ですが実行委員みんなのおかげで、当日アクシデントが発生しても、なんとか対応できるようにマニュアルを組むことができました。

今西:準備期間の事を振り返ると、日々やらなければならない事に追われる日々であったと思います。その中でも、最も悩み、苦労したこととして「分かりやすく端的に説明する」という事です。 参加者にも、協力いただく大人の方にも企画の趣旨をしっかりと伝える必要があります。多くの方が関わる企画なので、一人でも企画に関して勘違いしていると、問題の火種になってしまったり、短時間で大人数を集め、動かすことは出来ません。そのため、この企画と関わる人たち全員が理解できるように説明するという事はとても苦労しました。

Q.この企画を通して、成長を感じることは?

植田:いろんなことを学びました。100人の区間を割り振るエクセルなど技術的なものや、かけはしプロジェクトの時とは全く異なるタイプの人からの意見集約、学生への呼びかけ・カンパのお願いのためのプレゼン能力…練習などほとんどする時間はありせんでしたが、実践に次ぐ実戦で徐々にスキルアップしている実感があります。

今西:企画を進めていく中で様々な課題が発生して、それらを解決していくことで、とても成長する事が出来たと思います。
今回は特に「意見を聞き出す能力」を伸ばすことができたのではないかと思っています。企画を進めていくなかで、一緒にやっている実行委員会の意見や、上田電鉄をはじめ、ご協力いただいた大人の方の意見を具体的に聞き出す事で、企画の問題点や課題、それらの解決方法などを知ることが出来ます。これだけの規模のイベントは、一人で動かすことができないからこそ、多くの人たちから意見を聞き、その意見を集約することが必要な場面が多かったこともあり、そのためには、先に相手の考えを聞き出す必要がありました。意見が出れば企画がさらに面白いものになっていくという実感が、成長につながったと思います。

Q.この企画を共にする仲間への想いを教えてください。

植田:後輩や2年生がすごい頑張ってくれていて、とてもびっくりしてます。下見のためにわざわざ別所温泉まで夜道を歩いたと聞いた時には本当に驚きました。3年生はこれから就活の真っただ中ですが、これからの2年生の活動には期待してます。大変だと思いますが、もうひと踏ん張り頑張っていきましょう。

今西:この企画は、今いる実行委員が一人でも欠ければ、実現出来なかったと思います。この実行委員のメンバーは、とても自主的に活動してくれました。お願いしていないのに、コースを下見に行って危険な場所や、解決策、代替案などを提示してくれたり、企画を進めていく中でも、問題点や課題など、自分では気が付かなかったことも考えてくれて、非常に頼りになる存在でした。

Q.この企画を通して伝えたいことは?

植田:長野大学生の地域活動の種まきになってほしいという狙いは既にお話ししましたが、今回の企画が報道を通じて広まることで、長野大学の知名度アップにも期待はしてます(笑)。これによって後輩の活動がよりやりやすくなることに期待してます。

加えて、これは本当に私個人の考えなのですが、コロナ禍にある現在、屋外でできることは限られています。ですが、私たちはその今できることを最大限生かし、この企画を作り上げました。今動かなければ、100周年という機会はもう巡ってこないからです。世の中にはコロナで自粛に追い込まれたイベントが数多くあると思います。自粛ではなく、対策を徹底すれば実行できるんだという勇気を、オリンピックの前というこのタイミングで全国のイベント関係者・参加者に伝えることができたら幸いです。

今西:この企画は、大学生だから協力頂いていただけた方も多くいます。大学生だからこそ、営利目的ではなく、地域貢献のために活動する事が出来ました。この企画を行う中で、大学生だから出会える人いる事、大学生だから出来る体験が沢山あることを実感しました。

また、今回の企画はコロナがなければ、植田くんに相談されることもなかったと思います。コロナ禍でなければ、電鉄に勝負を挑もうという考えは浮かばなかったかもしません。

大学生だから出来る体験や出会える人が数多くいると思います。コロナ禍だから出来る体験や出会える人も数多くいると思います。

大学生という限られた期間で、コロナ禍だから出来る体験や出会いがあるという事をこの企画を通して、大学生に伝えたいと思っています。


共同代表のお二人のお話を聞いて、大学生の皆さんのエネルギーを感じました。この企画は後日、動画でも報告があるということですので、すべてのシーンが見れることを楽しみにしています。

それではイベントの成功を願っております。当日も頑張ってください。

【別所温泉駅伝】
開催日:2021年7月7日(水)
時間:16時6分・上田駅発~16時34分別所温泉駅着
会場:上田駅~別所温泉駅 沿線
参加者:長野大学生約100名

主催:別所温泉駅伝実行委員会
共催:上田電鉄株式会社
後援:上田ブラント研究所/別所温泉観光協会
コース監修:別所線と走ろう実行委員会

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