上田市マルチメディア情報センターは5日、サイエンスカフェを開催。身近なダンゴムシ、深海のオオグソクムシ、沖縄のミナミコメツキガニの〟心〝を見出す実験などを紹介し、「生命とは何か」を考える機会とした。
講師は信州大繊維系准教授の森山徹さんで、比較心理学や動物行動学、認知科学分野を研究している。著書に『ダンゴムシに心はあるのか』などがあり、昨夏にはNHKEテレ『又吉直樹のヘウレーカ!』に出演。この日は早速、迷路を作ってダンゴムシを歩かせる実験を行い、行動に現れる〟心〝に迫った。
参加者は小学生と保護者ら9組で、紙を切り貼りし、迷路を作り、職員がセンター周辺で捕まえたダンゴムシを歩かせる。「8つのゴールのどこに到着するか」について統計を取る実験で、「ダンゴムシ好き」という子どもらは興味津々だ。
「左上のゴールが多い」「右上のゴールも多い」「壁をよじ登った」「後ろには下がらない」など、子どもらは夢中になって観察。森山講師は結果を集計し、「右上と左上のゴールへ到着した回数が多い。これは右・左・右・左と、交互に曲がる性質を持っているから。でも他のゴールに行くこともある」と説明する。
そして「みんなも同じ時間に出てきて建物(学校)に入っていき、建物から出てくると同じ場所に帰る。でもたまに寄り道や習い事などで違う行動をとる」とし、「気持ち・心で行動を変えることがありダンゴムシも考えたり〟心〝を持っているのではないか。それを研究している」と語った。
さらにこの日は、ダンゴムシの仲間(等脚類)で日本最大種のオオグソクムシを持参し、「海の深いところにいる。陸と海、棲むところは違うけど同じつくり」と紹介。子どもらは手に持って、つくりをじっくり観察した。
また沖縄に生息する、ミナミコメツキガニを映像で紹介。大群で行動しているのは「人間も集まることがあり、それには理由がある」とし、動物とヒトの行動・心理・科学について語り、観察するおもしろさや性質を知る楽しさを伝えた。