上田市のシナノケンシ㈱(ASPINA)=金子元昭社長=は、製造現場の搬送省人化をサポートする「自律走行搬送ロボット(AMR)」を開発し、今月から試験販売を開始するとして2日、同社本社で記者発表し、デモ走行も行った。
AMR(Autonomous Mobile Robots)は自律走行し、地図をもとに自動で経路を探索して移動。人や障害物も検知して回避行動を行い、自動復帰できる搬送ロボット。人との協働が可能で、最近では物流の倉庫などを中心に実用化が進んでいる。
今回開発の自律走行搬送ロボット「ASPINA AMR」(通称)は、「短期導入(自動地図作成)」「小回りが利くボディと足回り」などを実現し、操作が複雑だった従来のAMRの課題を解決した簡単な操作で、製造現場で使いやすい搬送ロボットだ。
ASPINA AMRには、自身の位置と環境地図作成を同時に行う技術を搭載し、工場内の地図は実際の走行場所を走らせるだけで自動作成。タブレット端末の地図上で搬送先を指示(タッチペンで操作)するだけで目的地へ搬送できるため、現場での操作性も優れる。また最小回転半径が700㍉㍍で、その場での360度スピンターンも可能で、狭い通路など既存の組み立てラインでも使用可能だ。
同社・金子行宏代表取締役常務は「製品を製造する際、搬送作業は必ず発生する。製造業へのヒアリング結果では、搬送作業に2・2人が割り当てられており、費用に換算すると年814万円の費用がかかっているが、搬送は製品に付加価値を付ける工程ではなく、コストダウンや人手不足の問題を考えると自動化が求められている」とし、「AMRは少量多品種の製造ラインやレイアウトが頻繁に変わる工程にも導入しやすく、新設工場はもちろん、既存工場にも導入しやすい。将来の拡張性や柔軟性ある搬送機器」と話した。
ASPINA AMRは最大積載重量100㌔㌘、サイズは幅525×奥行き615×高さ250㍉㍍。同社の推奨バッテリー使用で12時間以上の連続動作時間があり、最大速度は時速2・8㌔㍍。受注生産で、試験販売開始後は工場環境や使用条件など打ち合わせの上、製造リードタイムをとった後に納品する。
なお同製品はテクノフロンティア2021に出展し、6月8日(火)~7月16日(金)のオンライン展示会ではデモ動画を用意。また6月23日(水)~25日(金)のリアル展示会(東京ビッグサイト)にも出展する。