立科町の県指定天然記念物「笠取峠のマツ並木」で5月31日、町内の小・中・高生が「アカマツの苗木植樹」を行った。この日は植樹に先立ち、立科小6年生54人がマツ並木の草取り・清掃を実施。通常は小・中・高の高学年が「3校清掃」を行うのが恒例だが、ここ2年は新型コロナにより中止となっている。
笠取峠のマツ並木は、江戸初期から約400年の歴史を刻む地域の宝だ。江戸幕府2代将軍・徳川秀忠が諸街道に樹木を植え、並木を作ったとされる。中山道芦田宿から長久保宿へと続く笠取峠には約十五町(約1.6 ㌔㍍)に渡り数百本のアカマツが植えられ、現在150本ほどあるアカマツのうち約50本が樹齢100年以上と推定される。
町は平成5年(1993)、松並木公園を整備して松の保護に努め、平成28年には保全活動の一環としてアカマツ古木の松ぼっくりから種を採取、育苗する活動を開始。平成29年に初めて、種を撒いたマツ苗が約1㍍に成長したことから、この日6本を植樹した。
町教委は「次世代を担う子どもたち・若者が保全活動に携わることで、笠取峠のマツ並木に関心を持ち、文化財保護や環境保全への気運を醸成したい」とする。
なお植樹したのは小学校児童会役員(6年)4人、中学校生徒会役員(3年)5人、高校生(3年)有志5人だ。町教委と文化財保護委が育てた苗木を圃場から運び、両角正芳町長が見守るなか町職員の指導の下、植樹する穴に土を入れ、苗を入れ、土を被せてガードを設置し、藁をのせて水をかけ、しっかりと木を植えた。
立科小児童会長は「苗木が重くて作業は大変だったけど、100年経って立派な木になってほしい」と言い、「未来に向け、次の人たちが植樹を続けていくことを願います」と話す。なおこの日の植樹は3校の代表者が行ったため、6年生は清掃後にその様子を見守った。