困っている人に食品を届けたい―と、「フードバンクin上田高校」が始動した。家庭で使いきれずに眠っている食品を集めて、必要とする人に渡そうと同校1年生4人が自主的に取り組む。3月30日には集まった食品(缶詰、レトルト食品、調味料、飲料、乾麺、米、お菓子など)約120点を仕分けし、パソコンでリストを作成した。
発起人は今吉七海さんで、探究的学習の中で「貧困問題」に関心を寄せたことがきっかけだ。海外・国内の状況を調べるうちに「コロナ禍で生活困窮者が増えているなか、自分にできることはないか」と思い、フードバンクに取り組むことにしたという。
協力を呼びかけると同学年の有賀明子さん、山浦萌華さん、下島佳純さんが賛同。活動は市内で日本語を学ぶ留学生に「困っていること」を尋ねることから始め、上田地域のフードバンク活動団体や社会福祉協議会などを訪ねて情報を集めた。
「相対的貧困という定義を知り、声を挙げられずに貧困に苦しんでいる人たち、支援の手を差し伸べにくい人たちを対象に食料資源を有効活用し、食品ロスを削減しながら必要な物を届ける活動、人と人がつながる活動をしようと考えた」と、2月初旬から行動を起こす。
食品を集めるためチラシを作って全校生徒に配布し、ポスターやSNSも使って協力を呼びかけ、昇降口に箱を設置(3月3日~19日)。「賞味期限1カ月以上」「未開封で包装や外装が破れていないもの」「生鮮食品以外」という、条件にあてはまる食品を提供してもらった。
なお配布方法については、「できれば自分たちでお渡ししたいと思っている。方法を検討します」と話す。生徒の活動を支援する竹内光礼教諭は、「何かやりたい、やらねばと思っても実際に行動することは難しい。地域に出て活動を始めた生徒たちを、『コミュニケーション』をキーワードにサポートしていきます」と語った。