心の癒やしに―と、上田さくら会(下谷よし枝代表)は15日(土)まで、上田市の上田温泉ホテル祥園・別館寿久庵で「季節のつるし飾りと人形展」を開催中だ。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったことから、2年ぶりの展示となる。
江戸時代後期の上田藩では、初節句を迎えた女の子の健やかな成長と幸せを願い、厚紙を絹などで包み桜の花や鶴亀、海老、鳳凰など縁起物を模った「つるし飾り」を贈る風習があったとされるが、幕末期ごろに途絶えてしまったという。上田さくら会は、蚕都上田の伝統を今に伝える絹を使い、つるし飾りの復興を願って平成14年から、つるし飾りづくりに取り組んでいる。
本展では、会場に500点以上の力作がずらり。古布に魅せられて、つるし飾り作りに取り組む会員ら約30人が、下谷さんの指導を受けながら制作するもの。ちりめんを使って顔以外を手作りした雛人形に始まり、端午の節句の「鯉のぼり」にちなんだ色とりどりのコイの作品やネズミ、ウシ、トラといった十二支にちなんだ動物たち、伝統的なつるし飾りのデザインなど多彩な題材の作品が並ぶ。いずれも昔の着物の質感や柄などを活かし、ていねいに作りこまれており、鑑賞者を楽しませている。
下谷さんは「手作りには『感動』と『喜び』がある。会員らは手作りの良さを満喫し、作品づくりに取り組んでいる」と活動を紹介し、2年ぶりの展示について「作品を発表することで、会員同士もお互いの作品を見て次に作りたい作品のアイデアが湧くなど、良い影響があった」と語る。
またコロナ禍では「外出できないことで、逆に作品づくりに専念してよい作品ができ、上田独特の伝統的なつるし飾りも再現できた」といい、「良い作品が並んでいる。展示が見る人の心の癒やしになれば」と話した。なお展示時間は午前10時~午後4時。入場無料。