上田市真田町長の「戸沢酒米プロジェクト」(宮島泰弘会長、13人)はこのほど、市庁舎に土屋陽一市長を訪問し、戸沢地区で採れた「酒米」で純米吟醸酒を醸成したことを報告。720㍉㍑1本を贈った。
同プロジェクトは人口減少などで荒廃地が増え、また地域に伝わる国選択無形民俗文化財「戸沢のねじ行事」への参加者が少なくなってきていることから、「ねじ行事」を盛り上げ、地域を活性化するために酒米作りに取り組もうと、平成30年2月に発足した。
酒米で戸沢ブランドの日本酒を醸成。さらに酒米の稲の丈が、うるち米より長いことから藁は行事で使われる「わら馬」の材料とし、酒米を精米する過程で出る米粉は行事菓子「ねじ」づくりに提供するなどし、地域コミュニティの強化・戸沢の活性化の一石4鳥を狙ったもの。
会員らは遊休荒廃地を開墾、初年度は酒米・ひとごこちを約540㌔㌘、令和元年度は約1080㌔㌘を生産し、市内の岡崎酒造㈱(岡崎謙一社長)で純米酒「信州亀齢」を醸成。2年度は約1620㌔㌘の酒米をつくり、初めて「とさわ」の名のついた純米吟醸酒「信州亀齢」を醸造した。
純米吟醸酒には「上田市真田の里 戸沢産ひとごこち」と記され、「ねじとわら馬引きのさと 戸沢」のシールを添付。シールのQRコードからは、プロジェクト活動の様子が紹介されている。精米歩合55%で出た米粉の一部は、戸沢地区に全戸配布したという。
この日は宮島会長、宮島英雄副会長、牧内一浩事務局長、岡崎社長が来庁。宮島会長はプロジェクトの目的と現状を報告し、岡崎社長は「純米酒より高品質な純米吟醸酒にすることで、酒の価値をあげ酒米を作っている人に還元でき、ひいては地域の価値をあげ戸沢を知ってもらえる」と伝えると、土屋市長は「素晴らしい取り組み」と活動を称えた。
醸造された純米吟醸酒は1.8㍑(税込み4400円)を400本、720㍉㍑(税込み2200円)を1500本で、真田町長の地酒屋・宮島酒店と岡崎酒造で販売する。なお宮島酒店には無濾過生原酒(同価格)もある。宮島会長は、取材に「酒を飲んで、みんなが笑顔になってくれれば最高」と話した。