上田市の信州上田医療センター・地域医療教育センター講堂で17日、新型コロナウイルス感染症のワクチン先行接種リハーサルが行われた。ワクチン接種の一連の流れ(予診、接種及び観察)で動線・作業内容・所要時間確認や接種体制に必要な医療従事者などの人員配置、接種の課題や問題点の把握などが目的だ。
この日は同センター・藤森実院長が「17日から日本で初めてワクチン接種が始まった。長野県では当院が一番初めの先行接種とし、臨床研究の一環で始まることになったが、そのシミュレーションを行う」とあいさつし、リハーサルを開始。
同病院関係者36人が模擬患者となり、会場には医師や看護師、薬剤師役の関係者らがそれぞれの配置につき、受付から接種(針のない注射器での模擬接種)、接種後の観察の流れを確認した。また予測外の具合が悪くなった人が出るシミュレーションも取り入れ、対応を確認した。
リハーサル後、会見した藤森院長は「スムーズにできたので、予定通り希望職員には滞りなく打てるのでは」と振り返る。また「アナフィラキシーショックという命に関わる副反応が起こった場合も、何としても救命しなければならない。接種後15分以上状況を観察し、待機する時に『密』になる場面があるが、換気などを確実にする」と、対応を語った。
新型コロナワクチンの先行接種計画は国民接種に先立ち、副反応など安全性情報を収集するための臨床研究として実施。同医療センター職員は、コロナ感染症患者や疑い患者と頻繁に接する業務を行うことから、職員の発症や重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保に必要なこととし、先行接種を実施する。
同病院臨床研究部長で循環器内科部長・高橋済さん、感染制御部長で呼吸器内科部長・出浦弦さんらによると、同ワクチンはインフルエンザワクチンなどと比較し、国内の副反応の情報が非常に少ない一方、「安定性に関しては海外のデータを参照しても非常に安全性が高く、アメリカの報告では発症予防効果がある」という。なお同センター職員への先行接種は24日(水)から実施し、接種希望者541人(育休・産休中の職員などを除く職員数632人の85・6㌫)にそれぞれ、2回接種を行う。
写真②