長和町の黒耀石原産地・星糞峠の古代の発掘現場に建設中の、野外展示施設の名称が「星くそ館」に決定した。11月30日開会の町議会12月定例会提案説明で、羽田健一郎町長が発表した。
黒耀石は古代には生活に欠かせないナイフや狩りの道具の矢じりの原料などに用いられた、黒く輝くガラス質の石。星糞峠は黒耀石の原産地・発掘地として知られ、昨年は「星降る中部高地の縄文世界」として、長野・山梨の14市町村で日本遺産に認定されている。
町では平成3年から、断続的に発掘調査を開始。28年からは第三次調査を行い、同施設建設は令和2年度まで5年間にわたる「史跡星糞峠黒耀石原産地遺跡保存整備事業」の中核事業となり、横20㍍、高さ3~5㍍の縄文人の掘った鉱山跡の地層の断面を見ることができるという、世界的にも画期的な施設だ。
建設地は、鷹山牧場の黒耀石ミュージアムから遊歩道を30~40分ほど上がった町有林の中にある。遊歩道は、まさに〝かつての縄文人が峠まで黒耀石を拾いながら歩いた道〟。観覧者には遊歩道を歩いて上がってもらうため、入館料は無料。名称は広く公募し、県内外から134件が寄せられた。
羽田町長は「日本遺産認定『星降る中部高地の縄文世界』に広く発信するべく、地元の皆さんをはじめ多くの皆さんに黒耀石鉱山の迫力を間近に感じてもらい、長和町の雄大な自然と共にあった縄文人の暮らしに思いを馳せてもらいたい」と伝えた。なお完成は来年7月の予定。