新型コロナウイルスに苦しむ現状からの復興を願って―。上田市生田の信州国際音楽村(若林邦彦理事長)は17、18の2日間、ピアニスト・金子三勇士さんの「野外ピアノコンサート~いまだからできること~」を開催。20日には若林理事長、南村昭夫館長らが市庁舎を訪れ、市に10万円を贈った。
金子さんは2014年、音楽村ホールこだまのピアノ選定に関わったことから縁が生まれ、15年からは毎年、同村でコンサートを開催。今年はコロナ禍で音楽村でのコンサートも中止になったことから、金子さんと「野外なら『密』にならないのでは」と急きょ、同コンサートを計画したという。
野外でのクラシックのピアノコンサートは、音楽村で初。来場者はマスク着用、検温、消毒はもちろん、座席は目印テープで座る位置を指定してソーシャルディスタンスを確保するなど、コロナ対策を実施。ステージ上にはこの日のためにホールこだまから運ばれた、スタインウェイのフルコンサートピアノがスポットライトの下に浮かび上がる。
初日の17日、金子さんは医療関係者への感謝を込めて「野外だからこそ味わえる音の響きもある」など、トークを交えながらショパン『革命』を皮切りに、ベートーヴェン『月光』第1楽章まで8曲を演奏。約100人の聴衆が自然環境の中、世界的ピアニストの音に耳を傾け、夏の夕暮れの贅沢なひと時を楽しんだ。
「ルネッサンスも中止になり、音楽を待ちかねていた人がたくさんいる」と、企画の意図を話す若林理事長。同コンサートは17、18の2日間の夕方は「夕暮れ時のリラクゼーション・ピアノタイム」とし、また18日午前は「野外で楽しむ王道のピアノコンサート」として開催し、計約420人が来場した。
贈呈式では、若林理事長が「音楽村にはソーシャルディスタンスをとりながら、多くの人が入れる野外ホールがある」と紹介し、「コロナ禍で影響を受けている生活弱者のために収益の一部を贈呈する」とあいさつし、土屋陽一市長に目録を進呈。東京の自宅からリモート参加した金子さんは「安全を確保できた上でのコンサートが可能になる、新しいシステムのクラシックコンサートが生まれた」と、言葉を寄せた。