【上田市】海野町自治会 市指定有形文化財「お船の天王山車」展示 「疫病退散・無病息災」記念して曳き出す

信州民報

上田市海野町自治会(増沢忠幸自治会長、163世帯)は18日、「上田祇園祭」で披露する市指定有形文化財『お船の天王山車』を今年も庫出しし、まちなかに展示。新型コロナウイルスで同祭は中止となったが、山車を曳き飾り置きした。

18日朝、お船の天王山車を保管してある市内横町・伊勢宮社境内の船蔵前には、法被を着た自治会役員と海野町商店振興組合有志らが集まり、「天王降しの儀」を行って庫出し。その後、横町から海野町商店街を通り「中央2」交差点を渡って、設置場所のセブンイレブン上田城大手門店駐車場へ、お船の天王山車を曳いた。

途中、高市神社前で増沢自治会長があいさつ。「お船の天王山車が建造された寛政12年(1800)ごろを調べると、冷害・長雨・洪水が続き、浅間山が噴火し、『天命の大飢饉』が起こり、疫病が流行り、寛政の改革によって経済・文化が停滞していた。220年後の今年・令和2年は新型コロナウイルスの流行、豪雨被害、経済ストップと当時と酷似している」と述べ、「このような状況だからこそ、『疫病退散・無病息災』を祈念し、当時の町人の心意気で建造された『お船の天王山車』を曳き出し、例年のように飾り置きすることにした」と伝える。

セブンイレブン上田城大手門店駐車場に設置後は、神事を行ってコロナ収束と町の活性化を願い、翌・19日午後4時ごろまで飾り置いて、地域の人々に披露した。

なお「上田祇園祭」は、真田昌幸・上田入城の日であったことから「お城祭」と呼ばれ、「お船の天王さん」はその先頭に立って祭りを盛り上げてきた。明治17年(1884)に巡行を廃止し、その後は傷みも激しくなり船蔵に眠ったままとなっていたが、企業などの協力を得て修復し、平成26年(2014)130年ぶりに「上田祇園祭」で復活した。

以来、祭り当日にはにぎやかにお練りをし、伝統文化を地域に伝えて翌日まで、まちなかに展示している。今年は『3密』を避けるなどコロナ対策をとり、「簡素に運ぶだけ」とした。

海野町商店街を曳き歩く様子
伊勢宮社から『お船の天王山車』を曳き出す自治会役員ら

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