対策は
フロント消毒を小まめにする
大浴場のれんは無い方が良い
(一社)信州上田観光協会は1日、上田市菅平高原の宿泊施設を対象に「新型コロナウイルス感染症対策セミナー」を開催し、約50軒から関係者らが参加。スポーツ合宿はじめ宿泊客を迎えるにあたり、「チェックインからチェックアウトまで」一貫した感染症対策を学んだ。
講師は宿泊施設の「品質」に詳しい、北村剛史氏(㈱ホテル格付研究所所長、(一社)観光品質認定協会統括理事)が担当。午前は菅平ホテルで、午後はまるみ山荘で開いた。実地セミナーとして行った内容は、館内主要部(ロビー、食堂、浴室、客室など)や付帯施設(グラウンドなど)を回りながら、対策法を具体的に伝えるもの。
北村さんは「長野県は感染が抑えられているが、いつか『1人』のウイルス保有者が来るという前提で、しっかりと対策をとってほしい」とし、館内を「グリーンゾーン」「イエローゾーン」に分け、注意すべき『もの・こと』や消毒法など、具体的に注意点を伝えた。
ロビーはイエローゾーンとし、スリッパの扱いやフロントでの対応を指導。「フロントの消毒を小まめにするなど、感染症対策をしっかりやっていることを示し、客に安心感を与えると同時に対策への協力を求める。対策に『おもてなし』を含めることが集客につながる」とした。
クラスターとなりやすい食堂では「入る前に着替え、入口で手指の食毒をしていただく。食事中の会話を控えていただくことを伝える。席の配置、配膳法を工夫する」と伝え、道具の消毒法や机の拭き方まで一連の流れを細かく説明。空調・換気では、「重症化の恐れがある高齢者や持病のある人は、風上に座ってもらうこと」と話した。
他にも「客室はグリーンゾーンであるべき」とし、注意が必要なカーテンやガラス、リモコンの扱いや掃除の仕方を伝え「大浴場ののれんは、今は無い方が良い」など、各箇所の注意点を詳細に説明。参加者からは「合宿では食後、皿を重ねることが多いが他人の皿に触れることになるので、止めていただいた方が良いか」など、熱心に聞き学んでいた。
菅平ホテル・北村春樹専務は「合宿利用が来夏に戻ってくるかどうかという状態。菅平にとって初めての苦境だが、宿泊施設は対策をしっかりとっていく。菅平の魅力発信を行い、前を向いていきたい」と話した。
セミナーは(一社)県観光機構との共催で、今年度観光振興地域協働事業の一環として実施。今後は順次、市内の市街地区と別所温泉地区で宿泊形態などに合わせた内容で開催していく予定だという。菅平高原、鹿教湯温泉、別所温泉の各旅館組合と市ホテル協会が協力している。