文科省・WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業の、県教委カリキュラム開発拠点校に今年度選定された、上田市の上田高校(市内大手)はこのほど、同事業の一環としてKDDI㈱と連携し、「デザインシンキング」を授業に取り入れる。
初回授業は6月下旬、8クラス全てで実施。KDDI経営戦略本部地方創生推進部の横幕秀明さんと能戸智也さんが講師を務め、「デザイン思考について」の授業を展開した。デザインシンキングは本質的なニーズを探りながら、課題解決法を構築するプロセスのこと。
今回は「STEAM教育」(科学・技術・工学・数学・芸術を統合する教育。文系・理系にとらわれない創造的な発想力を育む)のカリキュラムとして位置付け、2年生全員が学ぶ科目『グローバルスタディⅡ』で、「これからの時代に必要な能力は何か」をテーマに年5回、同社から講師を招いて学ぶ。
この日は始めに、講師が「デザインとは計画・構想のこと。デザイン思考はなぜ必要か?」と問いかけ、「テクノロジーの進化、ニーズの多様化、変化の加速、世界はより一層先が見通せない時代になっている。本質的なニーズを早く見つけて、早く提供する思考が必要だ」と伝えた。
そしてデザイン思考のプロセス「着想・発案・実現」を示し、具体的な流れとして「共感・定義・アイディア・プロトタイプ・テスト」を挙げ、詳しく説明。「デザイン思考は探求のプロセス。途中で大切なものを拾ったり、来た道を戻ってヒントを探したりし、アップグレードしていこう」とした。
KDDIが「人材育成・地方創生」の取り組みとして、高校生を対象に授業を行うのは全国で初めてで、「情報に流されず、見極める力をつけるためにも『考える』ことが大事で、『考え方』のアドバイスを与えていきたい」と話す。今後はデザイン思考の体験ワークを行うなどし、「これからの時代に必要な能力」について授業を進めていくという。
上田高校は、「企業の人から直接話を聞くことは、生徒一人ひとりの『探究』を深めることにつながる」と語る。なおWWLコンソーシアム構築支援事業は、革新的でグローバルな人材育成を目指して大学・企業などと連携し、高校生へ高度な学びを提供する仕組みを構築するもの。上田高校は昨年度まで、スーパーグローバルハイスクールとして実績を積んだ「探究学習」を、今年度はWWLで継続していく。