東御市八重原の刀剣作家・宮入法廣氏を応援する、宮入法廣刀匠後援会は29日、宮入氏が取り組んだ名刀「燭台切光忠」の復元制作を記念し、市中央公民館で特別講演会を開催。併せて「刀 燭台切光忠」の復元試作品も展示した。
1956年に坂城町の刀匠の家に生まれた法廣氏は、叔父は人間国宝の故・宮入行平氏だ。人間国宝・隅谷正峯氏に師事した法廣氏は、最年少で刀匠最高位の無鑑査刀匠となる。2010年に刀剣界最高峰「正宗賞」を受賞、2011年には県無形文化財に認定された。
同後援会は平成10年に設立し、この日は後援会会長・花岡利夫市長が「設立20周年にこのような特別講演会を開催できて喜ばしい。刀匠の制作環境を市のみなで支えていく」とあいさつ。特別講演会では徳川ミュージアム館長・徳川真木氏が「刀剣プロジェクト〟継承〝―水戸徳川家に伝わる刀剣を未来へと受け継ぐ―」と題し、話した。
「刀 燭台切光忠」の復元制作は徳川光圀はじめ、徳川家の名宝約6万点を所蔵する(公財)徳川ミュージアム(水戸市)が、関東大震災で被災した水戸徳川家伝来の名刀「太刀 児手柏」と「刀 燭台切光忠」の再現に取り組んだ、刀剣プロジェクト継承によるものだ。
同ミュージアム設立50周年記念事業の一環として2016年に始動し、「刀 燭台切光忠」の復元を宮入氏に依頼。宮入氏が2年がかりで完成させ現在、同ミュージアムで展示している。
この日は真木さんが、徳川ミュージアムの概要や50周年記念事業について解説し、「刀 燭台切光忠」復元の経過を伝えた。宮入氏が復元した刀剣については「地金の鈍い光の力強さにびっくりした。今まで見た刀とは全く違う、素晴らしい『光忠』が完成した」とし、「ミュージアムまで見に来てください」と伝えた。
[信州民報:2018年7月31日(火)]
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