千曲市の㈲米生物産(米澤生久代表)は11日、災害時に1人で避難者2人を同時に搬送できる、2人乗り万能車イス『助人くん』を東御市へ寄贈。市総合福祉センターで、米澤代表が花岡利夫市長に『助人くん』を贈呈した。
全国各地で発生している自然災害により、多くの要援護者が犠牲になっていることから、米生物産では約3年前に「二人乗り万能車イス」を開発。6月に特許を取得した。米澤さん(79)は、「災害時に一刻も早く、多くの人を避難させられるようにしたい」と、二人乗り万能車イスの開発に取り組んだ。
その後、自治体で防災に役立ててほしい―と昨年8月、地元・千曲市へ寄贈。これまでに県内26自治体(19市、7町村)に29台(栄村4台、他は1台)を贈っている。また17日(火)には、30台目となる2人乗り万能車イスを長野県に贈呈するという。
『助人くん』は非常時にはリヤカー方式で使用し、避難者は座ったまま介助者が坂道も容易に移動できる。足腰が悪かったりする高齢者らを、1人で同時に2人(子どもなら4人)搬送できるのが特徴。また平常時はブレーキをかけてベンチとしても使え、緊急時はブレーキを解除するだけで避難用車イスになる。
ポリタンク4本を一度に運ぶことも可能で、災害時に飲料水や灯油などを運ぶ際にも活用できるという。米澤さんは「長野県は地震の発生確率が高い」とし、「災害時に自力での避難が困難な人も多く、逃げ遅れる可能性も出てくる。1人のスタッフに対して一度の避難人数を多くすることを考えて開発した」とする。
この日、花岡市長は「緊急避難に対して配慮をいただき感謝する。人的被害を出さないことが大きな課題。市民の安全・安心のために活用させていただく」とお礼を述べた

[信州民報:2018年7月12日(木)]

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