人が知らずのうちに犯した罪や心身の穢れを半年ごとに祓う「大祓」。「蘇民将来」の伝説に由来し、茅の輪を腰につけたところ災厄から免れたというもの。上半期「夏越の大祓(なごしのおおばらい)」は6月30日に、上田市の上田城跡公園内・真田神社(宮下美生総代会長)と、下之郷の生島足島神社(依田延嘉総代長)で行った。
真田神社
真田神社では午後2時から神事を挙行し、参拝に訪れた観光客や地元住民ら約50人が参列。境内に設置した「茅の輪」をくぐり、残り半年間の無病息災を祈った。
今井貴美神官が謂れと作法を伝えて参列者はそれに従い、総代から配布された「人形(ひとかた)」に息を吹きかけ、頭から身体をさすって心身についた罪穢れを人形に託す。今井神官が「水無月の夏越の祓いするひとは 千歳の命延ぶというなり」という歌を詠み、茅の輪をくぐり、続いて総代、参拝者が茅の輪くぐり由来の「蘇民将来」と言いながら、直径2㍍ほどの茅の輪を八の字に3回くぐった。
神奈川県から来た観光客は「神事があるとは知らずに来た。茅の輪くぐりは初めて。思い出になる」と話し、「大祓」で次の半年に向け気持ちを新たにしていた。なお同神社の茅の輪は、7月8日ごろまで設置してある。
生島足島神社
生島足島神社では午後6時30分から挙行し、歌舞伎舞台前のしめ縄で囲った場所に約150人が参列。宮川清彦宮司と5人の神官のもと、約20人の総代と共に和紙で作った人形(ひとかた)で身体を撫で、清めて息を吹きかけ、「きりぬさ」を左右の肩にかけて今年上半期の罪穢れを拭った。
宮川宮司は「人が知らずのうちに身に付けた半年の罪穢れを祓い、清らな心身に立ち返るのが大祓。夏越には暑い夏を超すという意味が込められている」とし、「罪穢れを託した人形は川に流します」と説明する。
集めた人形を神官と総代代表が神社外へ置きに行くのを見守った後、茅の輪くぐりを行った。同神社の茅の輪は芦で作った、直径1㍍80㌢のもので、神官に続き総代、そして参拝者が長い列を作って八の字に3回、茅の輪をくぐった。
「心身共に活力を得て夏を乗り越え、次の半年を無事に過ごせるように」と参列者。偶然立ち寄ったという栃木県の夫婦は「見聞きしたことはあるが、まさか茅の輪をくぐるとは」と話した。
[信州民報:2018年7月3日(火)]
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